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「さやちゃんを救う会」公式サイトより~卒業~ [ボランティア]

2010.03.09 Tuesday
卒業の言葉
3月9日  東北大学病院内 仙台市立第二中学校分校の卒業式が行われました。
 その日の院内学級は一変、紅白の幕に囲まれ祝福ムード一杯でした。
 院内学級で卒業式を迎えたのは、共に長い治療を続けてきた沙也の親友と二人。久しぶりに着る制服に少し背筋が伸びた感じでとても新鮮に見えましたが、この制服を着るのはこの日が最後になります。

 本校の校長先生をはじめ前校長先生、教育委員会の方、PTA会長様、病棟の先生、師長さん、そして沙也が倒れて3年間ずっと沙也の席を空けて帰りを待っていて下さった、札幌の山鼻中学校担任の森先生も駆けつけて下さり厳かに行われました。
 来賓の方や後輩からの祝辞、先生たちの心温まる演出・・・二人の為のなんて贅沢な時間だったでしょう。
 皆さまのお陰で無事卒業式を迎える事が出来ましたこと、心より感謝申し上げます。
                                     父母



「 一生に二つの中学校生活 」
                     寺町 沙也

当時、まだ小学生だった私にとって、中学生は憧れでした。制服を買いに行った時のことを今も鮮明に覚えています。新しい制服、そして新しい友達。小学校に入学する時もこんな気持ちだったのかなぁと思い起こさせる経験でした。

 部活も始まり、中学生になったことが身についてきた頃に行った滝野炊事学習のことを思い出すと、懐かしい気持ちと、もっと沢山みんなで活動したかったという気持ちで胸がいっぱいになります。

 新人戦の時に初めて貰ったソフトテニスの賞状。準優勝の賞状でした。その時は山鼻中の先輩に負けたことが悔しくて、悔しくて、優勝と書かれた賞状を笑顔で嬉しそうに持っている先輩方を部員皆で囲った写真の中にはペアの先輩と私の姿はありませんでした。今考えると、撮っておけば良かったなぁと後悔しています。
 
 そんな楽しい山鼻中学校の生活の中に、病は突然訪れました。入院。今まで身体のことで親を心配させたことがなかった私にとって、本当に辛い出来事でした。
 私自身が辛いのではなく、父親と母親をはじめ、多くの親戚や友達を心配させる事が辛かったのです。

 入院生活という未知の生活の中に、院内学級という存在を知った時はとても嬉しかったです。「また毎日学校へ通えるんだ!!」しかし、想像と現実は違いました。それどころか座る事さえままならない状態でした。学校生活には程遠く、まず筋力からつける、そんな日々が続きました。二年生になった4月24日。初めて教室に行きました。とても緊張しましたが、緊張するのも久し振りで何だか嬉しくなりました。ですがやはり、体力がついて来ず、一時間教室に居る事が出来ませんでした。そんな私が教室に週二日通えるようになったのは三年生になってからでした。一人では病室から出られない私のために、大石さんと仲冨さんと秋場さんが学校について見直して下さって、二年生の頃には週に一時間程しか行けなかった授業に、多い週で三日も行けるようになりました。先生方しか動かせない機械なので、時間の関係もあり、授業後に遊べない事が当たり前だった私に、少しでも皆と遊ばせてあげたいと考えて下さった三人には、本当に感謝しています。それから、友達と遊ぶ機会が増え、今では友達が私の部屋に遊びに来てくれるようになりました。中学生の中では友達と遊ぶというのはごく普通のこと。でも今の私には出来ない事、改めてそのありがたさを感じました。

 二年三カ月という、長く見えて私にとってはあっという間の入院生活でしたが、周りの方に恵まれ、心はいつも元気でいられて、更に、先が見えなかった治療に明るい兆しが見えるようになりました。

 このまま病院で通信制の高校生活を送ることが普通と考えられていた私に手を差し伸べて下さったのは、院内学級の先生でした。退院できた後のことを考えて、なんとか通信制ではない高校生活を送らせてあげたい。そんな先生方が入院中でも受け入れて下さる高校を必死で探して下さったお陰で、聖ドミニコ学院高等学校への進学が決まりました。待っていてくれる学校があるということが、私の頑張りにも繋がっているのだと思います。

 この入院生活は、私の一生で学ぶ、健康な人では学べないこと、健康がどれだけ幸せかということをたった二年で学ばせてくれました。そんな私は、本当に幸せ者です。
 これから新たな学校生活が始まります。高校一年生になりますが、人よりも沢山の経験をしている高校一年生になることができます。今年の私の目標は「倍」。二年間病院で過ごしてきた分、この高校生活は人の何倍も楽しむという思いが込められています。人それぞれ人生は違うけれど、その中で立ちはだかる大きな壁は、自分じゃなきゃ乗り越えられないと思い、頑張ってきました。これから高校生になって、高校生なりの大きな壁はあると思うけれど、病気になってこれまで乗り越えて来たことを思い出して頑張りたいです。
 最後になりますが、今まで支えて来て下さった皆さん、そして院内学級の里緒ちゃんをはじめ、後輩の皆、あなたたちが支えて下さったお陰でこうして笑顔で卒業式を迎える事が出来ました。本当にありがとうございました。
 これから、楽しい高校生活を送って、病気も治して、恩返しできるように頑張ります。
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